2009年04月13日

西直 / 「とり」

 単に「とり」と呼ばれていた。学名など正式名称は別にあるのかもしれないが、とりで通じると聞いていたので、特に調べる必要はなかった。見た目は緑がかった薄灰色の鴉といったところだろうか。ただとりは、道端や写真などで見る鳥類とは違う、特殊な形の嘴を持っていた。
 長さ二十センチ、直径十センチほど。ドリルのように渦巻状になっており、食事など、口を開けるときにはその渦巻が解け、四つに分かれ、斜め上と斜め下方向に広がる。正方形に書かれた対角線、バッテン、「×」、中心の点がとりの頭だ。嘴の内側には鮫のような鋭く小さな歯がずらりと並び、鴉と同じく雑食で、人を襲うこともある。実際、とりに襲われ病院に運ばれるという事件もあったそうだ。それゆえ、とりは、野犬や熊などと同じく害獣扱いをされることも多いらしい。
 そんなとりに、農家の波多野さんは直接手で餌をやっていた。放し飼いにされている十羽ほどのとり達は、飼い主である波多野さんを取り囲んでいる。恐くないのか聞くと、「怖いといえば怖いけど、どちらかというと犬に餌をやるほうが怖いねえ」と波多野さんはのんびりと笑って答えた。「慣れだよ、慣れ」と。
 一羽のとりが、波多野さんの差し出す薄切りの豚バラ肉を舌で巻きつけるように掴み、そのまま口の中へと運んだ。とりの舌は長く、先のほうが細くなっており、象の鼻を思わせるような動きをする。嘴を閉じる寸前、とりは「きゃう」と鳴き声を上げた。波多野さんに礼を言ったのかもしれない。テレビか何かで知ったウミネコの鳴き声にどことなく似ていた。四方に広がっていた嘴は、閉じてからすぐにくるくると渦巻状に戻る。触ったことはないが、とりの嘴はゴムのような感触らしい。
 ここのとり達は食用として飼われている。さほど高価でも高級でもないが、一部のマニアの間ではそれなりの扱いをされる食材だった。ウミネコは食べられるのだろうかとふと思う。鴉は寄生虫がいるので食べてはいけないと、前にどこかで聞いた覚えがあった。
 餌やりを終えた波多野さんに案内されて、近くの小屋に連れていかれ、そこでパック詰めされたとりの肉をもらった。鴉も羽を毟ってしまえば、スーパーで売っている鶏肉の皮のような色をしているのだろうが、とりはその羽の下も緑がかった薄灰色だった。こんな色の肉は他にないだろう。雑食なせいか癖が強く、いくつかの面倒くさい行程を踏んでからでないと食べられるものにはならないが、そうした部分もマニアに好まれている理由の一つになっているそうだ。
 仕入れたとりの肉を鞄に入れ、波多野さんに礼を言って別れた。一人とぼとぼと駅へと向かう。徒歩で二十分程度。頼まれたお土産としてはやや手間がかかるものだったが、ついでにとりを、この地方にしかいない珍しい生物を見ることができたと思えばさほど気にはならなかった。畑に挟まれた道を進む途中、後ろからばさばさと羽の音が聞こえ、鴉がすぐ横を追い抜いていった。驚いて思わず足を止める。鴉はしばらく低空飛行を続けたあと、羽ばたき、空高く舞い上がっていった。


『歩道の端にまっくろなカラスがいる。小さな女の子が、たぶん何の意味なく見つめている。それを見ていた彼がカラスと女の子から物語を見いだそうとする。仮にそれが世界のはじまりだとして、果たして創造主は誰なのか、何なのか。彼か。女の子か。カラスか。』
 シャーペンの後ろをノックして、スカート越しの太ももに押し当てて芯を戻す。止めた自転車に中途半端な姿勢で腰かけたまま、わたしはカラスが飛んでいった空を見上げた。
 気持ちよく晴れていた。雲一つないというほどではないけれど、どこか遊びにいきたいと思うくらいにはいい天気だった。カララララと、わたしの前を同じ学校の男子生徒が通り過ぎていく。ちらりとこちらに目を向けてきたので、わたしは気恥ずかしいの一歩手前くらいのそわそわした気持ちになった。ふっと息をついて、右の路地に顔を向ける。
 ほんの数分前、自転車にまたがった和美の後姿を見送った。忘れ物したと言って学校に戻っていった。わたしは道路の端っこに自転車を置いて、一人ぽつんと和美を待っている。
 何気なく辺りを見渡して、田舎だなあと思う。道は一応舗装されているけれど、視界を遮る建物ほとんどなく、正面の向こうのほうに緑の繁りはじめた山が見える。駅の周辺は賑わっているものの、少し離れると閑散としている。ここはそんな中途半端な田舎だ。
 メモ帳とシャーペンを鞄の中に仕舞った。メモ帳は最近持ち歩くようになったものだ。ふと空いた時間に何でもないメモを取る。ちょっとした趣味。思ったこととか、浮かんだイメージとか。人に見られたら発狂するメモ。どうしてメモを取ろうと思ったのかは自分でもよくわからない。でも、趣味というのは大抵そんなものじゃないかなと思う。
 ふいに、「きゃう」と何かの鳴き声が聞こえた。少し遠くからだった。カラスが飛んでいった空の方向、目を向けると、そこに薄灰色の鳥がいた。
「……とり」
 とりだ。少し変わったくちばしを持った鳥。いや、本当に鳥類なのかどうかわからない。歯のある鳥類なんているのだろうか。とりは近くで見ると緑がかっていて、その色のせいで作り物めいた印象がある。姿形はカラスによく似ているけれど、渦巻状になっているくちばしが何だか怖い。和美はあのくちばしがかわいいと言う。前に「ドリルみたいだよね。ほら、ドリルは男のロマンだし」「いや、あんたもわたしも男じゃないから」と、変な会話をした覚えがあった。
 とりに近づいていく黒い物体もいた。さっきのカラスだろうか。二羽は近づいては離れを繰り返している。ケンカ、というか、狩りな気がする。お互いに捕獲しようとしているのかもしれない。カラスもとりも雑食だと聞いたことがある。薄灰色と黒が真っ直ぐに近づいて交差する。離れてから別々の場所で弧を描き、惹かれ合うようにまた近づいていく。
 争っている。それは頭ではわかっているのだけれど、わたしはどこか平和な気持ちになっていた。まるでじゃれ合っているように、薄灰色と黒の鳥がダンスでもしているように見えた。
「お待たせ」
「うわっ、びっくりした」
 とりとカラスに気を取られて、和美の自転車の音を聞き逃していた。和美はからかうような笑みを浮かべていた。
「何見てたの? 雲? 青春してたの?」
「いやあのね。……あそこ」
 わたしが指差すと、和美は「どこ」と空を見ながら目を細めた。
「あそこらへん」
「んー……、ああ、あれか」
 また「きゃう」ととりの鳴き声が聞こえた。弧を描く二羽。薄灰色のほうが「×」の形にくちばしを開く。
「わー、とり。かわいい」
「かわいい……?」
 どう見てもかわいいとは思えないのだけれど。どちらかというと凶悪な姿じゃないだろうか。
「ねえ、前も聞いたけど、どこらへんがかわいいの?」
「えー、かわいいじゃない。ミッフィーみたいで」
 さらにわからない。ミッフィーというのはぬいぐるみやキーホルダーになっているあのキャラクターのことだろうか。それ以外のミッフィーは思いつかない。
「ミッフィーとは似ても似つかないよ、どう見ても」
「ほら、口のとこ。バッテンじゃない、どっちも」
 ああ、そういうことか。
「いやでも違うでしょ。ミッフィーの口とは」
 何のことかは理解できたけれど、納得はできなかった。
 しばらく和美と一緒に空を見上げていたものの、いつまでもそうしていても仕方ないので、どちらからともなく自転車にまたがり、ペダルに足をかけた。
「でも、絶対とりを作った人はミッフィーのことを考えてたと思うよ。あのバッテンは。あの口は」
 和美がこだわって言い募る。わたしは苦笑を浮かべつつ、カララと自転車を走らせた。
 とりを作った人ってなんだろう。創造主ってことかな。そう思いながら、わたしは自転車の前カゴに、そこに入れている鞄に目をやっていた。和美がくる前、趣味のメモに「創造主」という言葉を書いたのを思い出した。
『果たして創造主は誰なのか、何なのか。彼か。女の子か。カラスか。』
 「創造主」というのはちょっと違うかなと思う。「創造元」とか「根源」とかだろうか。あとで書き直そう。ちらりと隣を見ると、並んで自転車を走らせている和美は、とりを見ることができたからか上機嫌で鼻歌を歌っていた。
「ドーリル、ドリル……」
 とりのくちばしはドリルみたいな形をしている。仮に「創造主」がいるとして、どうしてあんな形にしようと思ったのだろう。ドリルのくちばし。開くと「×」の形になるくちばし。ちょっとありえない。不思議だなあとは思うものの、特に調べてみようとは思わなかった。
「ねえ和美、それなんて曲?」
 わたしとしてはとりのくちばしよりも、今和美が歌っている曲のほうが気になった。歌詞はともかくとして、どこかで聴いたことのある曲調だった。


 車で舗装されていない山道を十五分ほど進んだあと、少し広まったところで止める。ここから先は歩きになる。車から専用の台車に載せた棺桶を引っ張り出し、私と中村さんと川崎くんの三人で押していく。棺桶の中には享年七十七歳の足立さんという方が眠っている。鳥葬場へは台車を押していくことを考えても十分くらいで着くだろう。
 遺言として鳥葬を願う人間がいて、それを受け入れる身内がいて、さらにそれを請け負う業者がいる。
 ゆるやかな上り坂、土の地面で、石や木の根や枯葉などで道はでこぼこになっていて、台車を転がすのには少しばかり苦労する。それほどカーブのきつくないS字を進み、また広まった場所に出て立ち止まる。
 木に囲まれた六畳ほどの空間、その真ん中辺りに四角く切り出された岩がある。それには「祭壇」という言葉がしっくりくる。長い歳月で角の取れた岩のベッド。硬く滑らかな質感、青みがかっていて、どこか冷たい印象がある。
 台車を祭壇のすぐ横につけ、棺桶をその上に移す。中村さんと川崎くんで棺桶の蓋を外し、祭壇の横に立てかける。
 足立さんは花に囲まれていた。化粧をされているのもあるのだろう、死に顔は穏やかなものだった。手を合わせて黙祷する。遠くで車の音と、鴉の鳴き声が聞こえた。足立さんの安らかな眠りを願ったあと、目を開けて合わせていた手を離した。ちらりと中村さんに目を向けて確認すると、無言で小さく頷かれた。別に禁止されているわけでもないはずなのに、この場所では私を含めて何故か声を出すことをためらう。しかし、それだと仕事にならないので、私は小さく咳払いしたあと、すうっと息を吸い込んだ。
「きゃう」
 とりを呼ぶのには、今のところ、こうした原始的な方法が取られている。録音したとりの鳴き声を流すか、とりの鳴き真似をするか。ただ、録音したものよりも鳴き真似をしたほうがとりは寄ってきやすいというのが経験則でわかっていた。何も知らない人がこの光景を見たら、滑稽に、あるいは不謹慎に思うかもしれない。
「きゃう、きゃう」
 とりの鳴き声はその姿に似合わず可愛らしいものだ。ゆえに、鳴き真似をするほうとしてはやや照れが出る。中村さんも川崎くんもそれがわかっているからか表情を変えない。二人とも神妙な顔をして、けれど、だからこそ笑い出したい気持ちにもなる。
「きゃう、きゃう」
 鳴き真似を続ける。と、そのうちに微かな鳴き声が聞こえてきた。見上げると青い空に、薄灰色のものがぽつんと浮かんでいた。わたしは両手をメガホンのようにして、さらに「きゃう、きゃう」ととりを呼んだ。やがて一羽のとりが、ばさばさと羽を鳴らしながら祭壇の上に降りた。
「きゃう」
 とりはその渦巻状の嘴をほどき、可愛らしく一声鳴いた。
 私は「じゃあ」と中村さんに声をかけた。中村さんは「ああ」と頷き、親指で車をとめている方向を示す。棺桶の中の足立さん一人を置いて、私達はゆるやかな下り坂を下りる。とりが一羽降りると、引き続くように他のとりも降りてくる。鳥葬が終わるまでには少し時間があり、その間に車から薪を取ってくる手順になっていた。薪は鳥葬が終わったあと、足立さんと棺桶を燃やすために使う。
「どうも、慣れない感じですね」
 道すがら、川崎くんが伸びをしながら言った。
「そうか? 川崎くんもけっこう慣れてきてると思うよ」
 中村さんも一息ついたという様子で応える。
「鳥葬って、他のところでもやってるんですか?」
「いや、ここだけの風習じゃないかな」
 雑談をしながら車をとめている場所まで歩いた。車の横で一服するついでに、話の流れで、どうしてこの仕事を選んだのかということを聞かれた。
「さあ、どうしてかなあ」
 誤魔化し気味にそう答えた。実際、人に言えるような明確な理由などはなかった。ただ聞かれたとき、一つ思い浮かぶ光景があった。
 まだ小学一年か二年のころだった。学校からの帰り道。山の中腹から気持ちよく晴れた空に向かって、煙が一筋昇り立っていた。その煙の周りを、薄灰色の鳥が何羽も何羽も、数え切れないほど飛び廻っていた。「きゃう、きゃう」と遠い鳴き声を聞いた。私は道の途中で立ち止まってそれを見つめていた。胸の奥がむずむずとした。とても恐ろしいものを見ている気がした。けれど同時に魅かれもした。逃げ出したくて、近寄りたくて、ただ立ち尽くしていた。あとになって、その光景が何なのかを知りたくなった。あの煙は何なのか。あの薄灰色の鳥は何なのか。どうして薄灰色の鳥はあんなにたくさん飛んでいたのか。
 あれが「鳥葬」だというのは、ずっとあとになって知った。
 あの光景を見ていなければ、今こんな仕事はしていないかもしれない。そう思い、軽い自嘲と懐かしさをこめて一人こっそりと笑った。
 視線を感じ、何気なく目だけを動かして様子を伺うと、川崎くんが慌てて目を逸らすのが見えた。川崎くんは私のほうを見ていたようだった。表情を消していたけれど、口元の微かな笑みが残っていた。その笑みに、懐かしむような気配を感じた。
 ふと、もしかすると川崎くんも、とりの光景を見たのかもしれないと思った。記憶に残ってしまった光景。それに引っ張られるように、この仕事を選んだのではないだろうか。想像でしかないけれど。
 雑談ついでに、そのことを聞いてみようかどうか迷っていると、複数の「きゃう、きゃう」という鳴き声と、羽ばたく音が聞こえた。自然と空を見上げる。そこに、いくつもの薄灰色のものが旋回しているのを見つけた。あの日見た光景が蘇る。何羽もの、数え切れないほどのとり。その姿、その色には強い非現実感があった。見上げていると眩暈を覚えた。


 鴉がばさばさと羽の音を立てながら窓をくぐり、部屋の中に入り込む。部屋には独特のにおいが漂っている。隅に立てかけられている木材のにおいと、油絵の具や粘土の鼻を突くにおい。鴉は慣れた様子で汚れた作業台に降り、何かを、誰かを探すように部屋の中を見渡した。すぐにドアが開き、コーヒーカップを持った青年が入ってきた。
「おう」
 青年はそう短く言って、歩み寄りながらコーヒーカップに口をつけた。鴉も「アー」と短く返事をする。青年がコーヒーカップを作業台に置くと、鴉は跳ねるように近寄ってきて、カップの中を覗き込んだ。
「んー、これはさすがに飲めないんじゃないかな」
 鴉はきょとんとした様子で青年の顔を見上げる。青年は椅子を引いて腰を下ろし、鴉と目の高さを近づけた。
「まあ、今日もモデルを頼むよ。あとで残り物やるから」
 鴉は「アー」と返事をして、作業台の中央、青年から見てやや左寄りの場所に移動する。
 作業台の隅に、ただ乱雑に物を置いている場所がある。指の型のついたヘラ、百均で買った金槌、留め金のところが錆びた鋏、刃を出したままのカッターナイフ、牛の着ぐるみを着た少女が描かれた絵馬、伊勢神宮の写真を印刷したポストカード、ミッフィーの携帯ストラップ、三年前の週刊モーニング、大丸百貨店のロゴの入った紙袋。
 物が混在しているその中から、青年は粘土のビニールパックを探り当て引き寄せた。鼻歌をうたいながらビニールを破り、中身を取り出す。緑がかった薄灰色の塊。しばらくこねて、ほどよい柔らかさにしたあと、鴉を見ながらその形を作っていく。羽。胴体。尻尾。嘴。足はさすがに粘土では再現できないので針金を使う。
 鴉はその場でじっとしていた。ときどき首を傾げたり、欠伸をするみたいに嘴を開けたりしたが、羽ばたいたり跳ねたりなど、大きく動くことはなかった。青年はちまちまと粘土をいじる。ヘラや割り箸や爪楊枝を使い、細かい部分までモデルに近づけていく。
 ちびちびと飲まれていたコーヒーが残り二センチほどになり、冷め切って別の飲み物のようになったころ、青年はようやく「うん」と頷いて、満足げに息をついた。「お疲れ」と鴉に言う。鴉は一度だけ羽ばたき、強張りをほぐすみたいにぶるぶると身を震わせた。それから色違いの自分の模造品を眺め、まあこんなものかとでも言いたげに小首を傾げた。
 青年はモデルのお礼として、残りものの豚肉を鴉にあげた。鴉は作業台に載せられたそれをかつかつと啄ばみ、全部平らげてから「アー」と一声鳴いた。
「どうも」
 青年がそう応えると、鴉は跳ねるように方向転換して、羽ばたき、窓の外に滑り出て、空高く舞い上がっていった。
 青年はコーヒーを淹れ直し、粘土の鴉を眺めながら小休止をする。それから爪楊枝を手に取ると、粘土の鴉の嘴に、その上下に一本ずつ切れ目を入れた。嘴の先を摘んで、千切れないように気をつけながらぐりぐりと捻っていく。薄灰色の鴉の嘴がまるでドリルのようになる。そうしながら青年は「ドーリル、ドリル」と妙な節をつけて鼻歌を歌った。
 ふいに青年の腹が「ぐー」と鳴った。青年は歌をとめ、ふっと軽く笑って、冷蔵庫に何が残っていたかを考えながら部屋から出ていった。ドアを閉めるとき、「じゃあな」と、誰も、何もいないはずの部屋にそう声をかけた。
 部屋の中からは音がなくなり、代わりに外の風の音や、鴉の遠い鳴き声が窓からまぎれ込んでくる。五分ほどが過ぎたとき、薄灰色の鴉が小首を傾げた。粘土で作られた、動かないはずの鴉。モデルになった本物の鴉に似た仕草だった。青年が出ていったドアを見やり、そのままの姿勢でしばらく待つ。しかし、青年が戻ってくる気配はない。それがわかると、薄灰色の鴉は跳ねるように方向転換して、羽ばたき、窓の外に滑り出て、空高く舞い上がっていった。
posted by mistoa at 17:56| Comment(0) | TrackBack(0) | mistoa vol.6 archives | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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